①リラクセーション効果
緊張と弛緩のほどよいバランス状態がリラックスした状態であり,リラックスしているときには自己コントロールしていく力が強まってくるので,ストレスに対するクッション効果が得られます。これによって精神的苦痛や身体的な痛みが緩和されるので,ストレスに対してイライラせずに穏やかに対応できるようになり,自己の制御力が増し衝動的な行動が少なくなります。
②トロフォトローピック効果
蓄積された疲労の回復,エネルギー蓄積的な状態が自律訓練の練習中に得られるようになります。
こうした状態をトロフォトローピック状態といい,自律神経系をはじめとした全身の諸システムが調整されるので,自己治癒的な自然な回復力や免疫力が最大限に発揮される状態なります。したがって,直接的な病気の治療のためだけでなく,病気の予防や健康増進の側面でも大いに利用されています。
③受動的注意集中による意識の拡大
これは,日常の意識と違って,受動的な意識状態で,例えていえば,窓の外の景色を全体的に見るともなく自然に眼に入ってくるままをただぼんやりと眺めているような意識のあり方です。
このとき湧いてくるいろいろな雑念や耳に入ってくる外界の雑音などを,特に考えたり注意を向けずに,そのまま味わい眺めているように受け入れていきます。練習目標や結果の達成を目指した意図的なあらゆる努力を放棄したさりげない態度であり,このような意識状態が受動的注意集中です。
こうした受動的態度が維持されたときには,手指の皮膚温度や血流量が増加し,全額部の皮膚温度は低下し,胃腸の温度および血流量が増加してその運動が亢進し,疲労回復され,身体的な痛みや精神的苦痛が緩和され,意識水準が低下し変性意識状態がもたらされ,情動の開放や自我の防衛が変化し,過去の出来事が想起しやすくなり,心身の変化に気づきやすくなり,全体的に気づきの能力が高まります。
こうした結果,客観的な俯瞰的な意識がもちやすくなり,蓄積された疲労が回復され,自己統制力が増して衝動行動が少なくなってきますし,仕事などの能率が上がるようになり,内省力がつき,自己向上性が増大していきます。
④自律性開放
うっ積している心身両面での不消化なストレスエネルギーが自律訓練の練習中に発散的に出てくることがあります。
これは自律性開放と呼ばれている現象であり,自律性状態という理想的な心理生理的状態が得られたために,脳による自動的な自己処理的機能が働きだしたための現象であると考えられています。
自律訓練法(標準練習)の練習中のみみられる現象で,受動的態度や練習姿勢上などに問題がないにもかかわらず,さまざまな心理生理的諸現象が出現することをいいます。
自律的開放現象は,運動的なものでは手足がピクピクした動き,緊張反応や痙攣などの不随意運動などがあり,感覚的なものとしては,シビレや麻痺感,膨張感,掻痒感,熱感,左右の不均等間,暈感,飛行感,落下感,回転感などがあります。
心理的なものとしては不安や抑うつ,多幸感,孤独感,愛情渇望感,悲哀感などさまざまな感情があり,精神活動としては雑念などがよくみられる自律性開放現象です。
ある時期から練習中に自律性開放が非常に多くなり,練習がどうしても困難になっている場合には,例えば1回の練習時間を30秒程度から1分くらいまでに短縮して受動的態度が保てるように指導しべきです。
さらに必要な場合には,15秒ほどの練習を数回から十数回繰り返していくショート・スティック練習を指導する場合もあります。
⑤自己の再統合
自律訓練は,精神的なものや心理的なものの再統合や再体制化を促進する作用があります。これにより,成熟度を高めるような人格的変容の機会が効果的にもたらされます。
⑥アイディア
自律性状態では,集中力が高まり能率が上がり,想像力や創造力の刺激作用により,その人の才能の質によって絵画的,音楽的,文学的アイディアなども湧きやすくなります。
仕事上では問題解決や企画や開発のアイディアが出やすくなります。
つまり,練習者が日常考えていたり悩んでいたりしている事柄に関してのアイディアが出てくるようになります。
⑦あがり・緊張防止
緊張が緩むと,いろいろな刺激やストレス,課題に対するクッション効果となり,過剰反応しないで対処していく能力が高まります。
過剰な緊張から開放されてあがりがなくなるので,会議や人前で楽に話せるようになり,その人の本来の力がいかせるようになります。
こうして自信がつくことから,欲求への忍耐力が増したり,神経質的態度が改善されたり,自発的な活動が増え活発に自己表現が行えるようになった,感情の不安定さや乱れが改善されたり安定化したりなどの報告がよく聞かれます。
また,心身の安定が得られ,集中力がつきケアレスミスが減少するので,事故の防止や安全上の意義も大きいです。
⑧自律訓練法の効果がある病状
・自律神経失調症
・パニック障害
・不安障害
・高血圧 |
・気管支喘息
・頭痛・腰痛
・不眠
・アレルギー疾患
・その他の慢性疾患 |
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